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元抗がん剤病棟の看護師ブログ

抗がん剤病棟で勤務経験あり。抗がん剤に対して漠然とある「恐怖」「不安」を少しでも解消できるよう、私なりに知ってほしいこと、伝えたいことを書いています。知ることで解消できることもきっとあるはず。患者さん・家族に伝えるつもりで綴っています。

【抗がん剤の副作用】血管外漏出-あまり知られていないけど、化学療法中に数%の確率で起こります。

抗がん剤の副作用 2つ目です。

今回は、点滴での化学療法(抗がん剤治療)で出現する、血管外漏出についてです。

 

これも、意外と知られていないというか、実際に抗がん剤治療(化学療法)をされた方でないと体験しない副作用です。

化学療法中に数%の頻度で起こるので、珍しい副作用ではありません。

こういう、知られていないけど、意外と頻出する副作用について知っていただきたいです。

 

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目次

①血管外漏出とは

 静脈注射・輸液(点滴)は、点滴バックから点滴のチューブ(管)を通り、血管に刺っている針をによって血管内に流れていきます。

血管外漏出とは、本来、血管の中を流れるべき点滴が血管の外に漏れ出て、組織に炎症・壊死をもたらすことをいいます。

これは、静脈炎とは違います。

静脈炎とは、血管の炎症で、血管に沿って赤くなったりすることです。

 

②起こりやすい抗がん剤

以下にいくつか血管外漏出が起きやすい抗がん剤を挙げます。左のアルファベットはその抗がん剤が使われている化学療法のレジメンです(抗がん剤のコースのようなもの)

・タキソテール・・・CBDCA+PTX など

・タキソール・・・CBDCA+DOC など

・ナベルビン・・・VNR、CDDP+VNR など

・シスプラチン・・・CDDP+Pem、CDDP+VNR など

・ベプシド・・・VP-16、CDDP+VP-16 など

・ジェムザール・・・GEM、CDDP+GEM など

 

 ③症状:自覚症状と外観変化に注目!

 <自覚症状>

・注射針刺入部位周辺の不快感・・・チカチカする、ジンジンする

・灼熱感・・・熱い感じがする、その部位だけ火照る感じ、ジンジンする

・疼痛・・・針先が痛い、針より上(血管)が痛い

・圧迫感・・・押さえられるような感覚がする

・しびれ・・・手先がしびれる、グーパーなど開いたり閉じたりしにくい

(点滴の針が入っている腕を動かすのが怖くて、全然動かさなかったら違う意味でしびれてしまったということもあったりしますが、そこまで神経質にならなくても普通に動かすことはできます。)

※症状の程度や発現時期は血管外漏出が起こった状況によって異なります。

すぐに気づかずに数日してから出現し気づくこともありますので、終了後の観察も必要です。

 

<外観変化>

(1)初期

・注射部位およびその周辺の発赤(赤くなること)、腫脹(腫れあがること)

(2)炎症症状進行

・水疱形成・・・水ぶくれができるーやけどのときのような水ぶくれです。

・硬結・・・しこりができるー一番起こりやすい。押さえたり、つまむと分かります

・潰瘍・・・皮膚の表面が傷つき、少しえぐれたような感じ。ただれ。

・壊死・・・組織が死んでしまうこと。これは一番最悪な状態です。

 

④対策と治療

ステロイド剤の局所注射を実施

 血管外漏出が起きてしまったら、まずは、局所の炎症を抑えるのと、抗がん剤が、周りの細胞に拡散しないようにします。

<具体的な方法>

明らかな血管外漏出が起こった場合は、点滴の針を抜きます。直ちに医師に報告します。

その部位を冷罨法(アイスノン)あるいは温罨法(ホットパック)します。

冷罨法の目的は、消炎作用と薬剤の拡散防止で、

温罨法の目的は、薬液の分散と吸収を促進することです。

医師により、注射部位を中心として放射線状にステロイド剤を注射器で注射します。

イメージで言うと、注射針を抜いたところを中心に、数か所、ステロイドの注射の跡の点が円を描くようにできます。

漏れてしまった抗がん剤をその部位にとどめて、周りの細胞が炎症するのをステロイド剤で抑えるというわけです。

 

*温罨法(ホットパック)する抗がん剤

オンコビン、ナベルビン、エクザール、ベプシド

*冷罨法(アイスノン)する抗がん剤

上記以外の抗がん剤

 

その後冷やす

 ステロイド剤の局所注射後は、基本的に冷罨法ですが、上記に挙げたオンコビン、ナベルビン、エクザール、ベプシドに関しては、24時間は温罨法し、その後冷罨法に切り替えることになっています。

 

塗り薬を1週間継続する

 そして、ステロイド外用軟膏(塗り薬)を1日2回で1週間継続します。

皮膚の状態によっては、さらに継続して塗り続けることがあります。最初の症状が違えど、塗り続けた結果、触るとしこり感(硬結)が残る場合があります。

 

場合によっては外科的治療も

皮膚障害の状態(潰瘍、壊死、細菌感染など)によっては、デブリドマン(壊死した組織を除去する(切る))や皮膚移植などの外科的処置を行うことがある。

ビシカント薬は皮膚などの組織に与える影響が大きいので、ビシカント薬が漏出した際は、皮膚科や形成外科の専門医師にコンサルトする場合もあります。

 

⑤私の体験談

血管外漏出とまではいかないけど、意外と静脈炎は起こります。

血管に沿って、赤くなったり、熱感を持ったりします。外観変化においては、看護師が観察しているので、気付くことがありますが、自覚症状に関しては患者さんに教えてもらうことになります。

こういう時は、その時点で抗がん剤投与をいったん止めて、医師に報告します。

医師の指示の下で投与を再開したり中断しますが、再開する場合は、温罨法や冷罨法をしながら、速度を落として投与することが多いです。

血管外漏出になった場合は、点滴の針を一度抜いて、上記の一連の処置をした後に、他の静脈に点滴の針(DIV)を取り直します。

血管外漏出になってしまって数日後に悪化し、水疱形成してしまった患者さんもいました。その方は、最終的にはデブリドマンすることになってしまいました。

早期発見・早期治療に越したことはないです。

看護師だけでなく、患者本人に日々の観察も大切です。

 

⑥あなたが気を付けること

血管外漏出に関して、あなた自身が気を付けるとすれば、不必要に点滴(DIV)が入っている腕をむやみやたらに酷使しないこと。

抗がん剤を投与する点滴の針は、医師が確実に血管内に入れており、普通の生活は送ることができるよう しなる柔らかい針になっています。

ですが、24時間投与の抗がん剤でなければ、できるだけ投与前にトイレは済ませて投与中は安静にしておくことが基本です。もちろん投与中にトイレ等は行けますよ。

投与中にやらなくてもいいこと(急に片づけをしだす、散歩をする など)をすることで、もしかしたら針先がずれてしまうこともあるかもしれません。

それは避けたいですね。

数時間で終わることなので、抗がん剤投与中にやらなくてもいいことはやらない。不必要な注射部位の酷使は避けましょう。

 

最後に

 初めての抗がん剤投与だと、針先の違和感さえも「こんなものなのか?」とよく分からなくて我慢してしまうこともあります。

とにかく、見た目が変わったり、チクチクしたり、おかしいなと思うことがあれば、遠慮せずに看護師に言うようにしてください。

迷わずに、ナースコールを押してください。

仮に静脈炎だったとしても、あなたは「静脈炎が出やすい人」というデータが取れれば、次の治療から、あなたに適した予防対策(前投薬の追加や、温めながら投与する など)をします。

今回だけの一時のことではなく、今後外来治療に移行したときや、違うレジメン(抗がん剤のコース)をすることになったときなど、トータルとして参考になります。

 

意外と知られていない血管外漏出ですが、割と静脈炎も起こりますし、血管外漏出自体も珍しいことではありません。

備えあれば憂いなし です。

予備知識として、参考にしていただければ嬉しいです。

 

 

 

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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